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「あはははははっ! や~~っはっはっははっははっは!」
「ほらリュウ君、ごめんなさいは?」
「やだ!あやまんない――っ! うにゃあぁあっひゃっひゃっひゃははっはは!! 先生、だめぇ!くすぐったいよ~っ!」
ある小さな保育園で、やんちゃな男の子がおもちゃの取り合いをして、相手の子を叩いて泣かせてしまったのだ。普段から悪戯ばかりしているこの子に、今日こそはお灸を据えるため、くすぐりの罰を与えているのである。
「そう、でもサトル君に謝るまでやめないわよ? それでもいいの?」
「いやあああっはっはははは!! やだ!だめっ!くすぐったいってばぁっ!」
いくら暴れても、小さい子供の力では両手を縛っている縄跳びを外すこともできず、
自由な両足を、バタバタさせることしかできない。
がら空きの腋の下と脇腹を、まだ若い先生の細長い指がこちょこちょと、さわさわと蠢く。
「じゃあ、サトル君にごめんなさいって、ちゃんと笑わないで言えたらやめてあげる。」
「やああああっ!? ムリ!くすぐったくてっ、笑わないのなんてムリいいっひっひっひひひひっひ!!」
無茶な注文に、男の子は絶叫を上げるが、先生は無慈悲にも指を止めることをやめる気配は無い。
「こちょこちょこちょこちょ~」
「いう!言うからあああっひゃっひゃはははははは!! やめっ!やめてってばああっはっははっははっは!」
「コチョコチョコチョ~」
「ぎゃっははははっはっは! ごめんなさい!ごめんなさ~っひやあああっはっははっははは!!」
「サトル君、叩いたりしてごめんなさい。よ?さん、はい」
「うきゃきゃきゃっはははは! サ、サトルうううっふっふっふふふ!くんんんんっ!! たっ…叩いたりしぃいいっっひひっひひひ!ご、ごみぇんにゃああああっはっはっはははははっは!!」
「だめでしょ、ちゃんと笑わないで言わなきゃ! はい、もう一回!…と言いたい所だけど、この件はこれくらいにしてあげましょう。もう、お友達を叩いちゃだめよ?」
先生がくすぐっていた指を止める。男の子は今までガクガクと揺らしていた頭をがっくりとたらした。
しかし、先生はそんな男の子の様子を見て、にやりと楽しそうに口の端をつり上げた。
「さあ、今度は、先生に謝ってもらおうかな?」
男の子の顔が先生の方を見て凍りつく。先生は嬉しそうに手をわきわきさせている。
「毎日、悪戯して先生達を困らせてるもん。それと、こっちはちゃんと謝るまでやめないからね?」
「ひっ…! や、やだやだ!もうくすぐったいのはやだーーーっ!」
男の子は思わず自由な足で先生をぽかぽかと蹴り始める。
蹴ってくる足にちらりと目を向け、先生はその足をがっしと掴む。
「うひゃ!?」
「ふ~ん、リュウ君は、先生にあしのうらをくすぐって欲しいのかな~? じゃあ、お望みどおりくすぐってあげましょうね~」
男の子に反論を与える暇も無く、先生はその裸足の小さな足に、柔らかなタッチで、さわさわと指を這わせ始めた。
「いやあっひゃっひゃはははっはああっははは! ちが、ちぎゃああああっははっはははひひひ~っ!!」
…この日からこの保育園は、児童と先生の笑いの絶えない保育園として有名になりましたが、それはまた、別のお話。