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悪戯好きがお姫さまのお気に入りになったとは知らず、最後の側近候補として、ぬけさくことどじっこ小間使いがおずおずとお姫さまの部屋に入りました。
お姫さまは昨日のことがあったのでご機嫌がいいそうです。
小間使いが足を拭き始めるとお姫さまはいつも通りの言葉を言いました。
「ふふっ、くすぐったいですわ…」
小間使いはまた、自分がミスをしたと思い、恐縮して謝りました。
お姫さまはがっかりしました。この子も同じかと思いつつ、言葉を続けるしかありませんでした。
「よい、わたくしがよいというまで続けなさい」
「わ、わかりましたです…今からはこちょばくならないようにがんばりますです!」
頑張らなくてもよろしいのに…とお姫さまは心の中で愚痴を呟きました。
どじっこ小間使いは、くすぐったくないようにしなくちゃです…と呟きながら集中して、お姫さまの足を再び拭き始めました。
ここで、お姫さまにとって嬉しい誤算が起こりました。
もうくすぐったい刺激は来ないだろうと予測して気を抜いていたお姫さまにの足の裏から、突然さっきよりもくすぐったくてゾクゾクした刺激が襲ってきたのです。
「ふひゅ~ん!?」
変な声を上げてしまって慌てて口を押さえましたが、集中していた小間使いには聞こえなかったようです。
「(な、何なんですのこの子は!? 注意するといったのに、さっきよりもくすぐったくなるとは…不思議な子ですわ)」
この小間使いは力を入れなければくすぐったくならないだろうと考え、触れるか触れないかの布さばきで足を拭いていたのでした。
お姫さまにしてはたまったものではありません。不定期にシャッシャッとこすってくる布は慣れを与えず、常に新鮮なくすぐったさを送り込んできます。
大笑いするほどではないですが、足の裏からまるで電流のように体を突き抜けてくるくすぐったさに、吹き出てくる笑い声は止まりません。
大声で笑ってしまったらまたこの子が止めてしまう。それだけはいけない、とお姫さまは両の手をぎゅっと握り、必死で笑いをこらえます。
「くっ…ふひゃ……やっ!…そこは…っ!指の間はっ!よ、弱いのですわっ!…ふふっ…くふふっ!」
「ん?…姫さま、もしかしてボクの足拭き…こちょばかったですか?」
お姫さまは必死で首を振って否定しました。この甘い時間を終わらせたくなかったのです。
小間使いは不思議そうな顔をして、でも命令されたからにはやらなければともう一度拭き始めました。
再び甘い感覚に支配されながら、くすぐられ好きのお姫さまはこう思いました。
「(昨日のように意地悪くくすぐられて大笑いするのもいいですけど、こういった無垢なくすぐったさを必死で耐えるのも、なかなか…くふひゅっ!ひひっ!…いいものですわね♪)」
次の日から二人は側近に取り立てられ、毎夜、お姫さまの部屋からは妖しい笑い声がなりやまなかったそうです。
めでたしめでたし。